よみ:じっせいかかく
実際の取引価格や、その取引が複数累積されたことにより形成される相場の価格のことをいうが、不動産における実勢価格は、概念上のものであって実在しないという特色があり、種々の議論がある。
第一に、実際の取引による価格が必ずしも公表され、それが複数あって信頼される統計となっているわけではない。
第二に、不動産は、個別性が高く、株や原材料、商品のように同一のものが大量に取引されるということがない。個々の取引を通じて個々の価格が形成されるのであり、成立した価格をもって実勢価格と考えることはできても、その価格が類似の取引に適用できる一般性・汎用性があるかというとそうではない。これらが実勢価格が実在しないという理由であるが、一方で、国土交通省発表の地価公示や都道府県地価調査、国税庁が主に相続税徴収のために公表している路線価、地方公共団体の固定資産税評価額など、公的機関がそれぞれの目的で公表する不動産の価格が存在し、これらのいわば公定価格との対比で、取引価格のおおむねの水準を実勢価格と呼び、または、これらの公定価格から実勢価格を推測するということが行なわれている。
指定流通機構はレインズの取引データに基づく成約情報の公表をしており、これにより、ある程度の相場や趨勢を地域別に把握することが可能である。