よみ:いしのうりょく
法律行為を行なったときに、自己の権利や義務がどのように変動するかを理解するだけの精神能力のこと。法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とするとされている(民法第3条の2)。また、その範囲について、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とするとされている(民法第121条の2第3項)。
意思無能力者とは、具体的には小学校低学年以下に相当する精神能力しか持たない者と考えられる。
通常、法律行為が無効であれば、その無効は契約等の当事者の誰からでも主張することが可能とされており、意思無能力者の行なった法律行為も同様である。
ただし、意思無能力者の法律行為が無効とされるのは、意思無能力者を保護する趣旨であるので、意思無能力者が無効を主張しない場合(契約等の効力の存続を希望する場合)には、契約等の相手方から無効を主張することは許されない、とする有力な学説がある。